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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-148


(嵐の始まりに、人々はまだ、異変に気付かずに居た。)

***

「ぱこっ! どこ行くんだよっ。」

(晴は、雷鳴の中、うきうきと飛び跳ねる花子に叫んだ。)

「はれ、すごい嵐っ! 嵐に乗って、何かが来るよっ!」

(大荒れの天気に、帰る人が居る中。 ぱこの目は輝いていた。)

「おいおいっ、おいおいっ!」

「・・いるんだよなぁっ、雷、嵐! 好きなやつっ!」

「お前、そういうタイプっ!?」

(冷めた目で、呆れる晴に。 可愛らしい雨合羽を着た、まこが、
微笑んだ。)

「うん、ぱこちゃんはね。 燃えるタイプだよv」

(晴は、悶絶した。 二人に、なんとか雨合羽を着せたものの。
目を爛々と輝かせるぱこに。 つられて、うきうきしているまこに。
敵いそうもなかった。)

「まこっ! 向こうっ。 何かいるっ!」

(ぱこの瞳は、輝いた。 この世の物ではない何かに。 尊い物に、
触れるチャンスが、そこにある気がした。)

「行こう。」

(ぱこは、まこの手を取った。)



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