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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-149


「おいっ! 真っ! 花子っ!」

「ったく・・!!」

(晴は、息を切らし。 雨の中、二人を追い掛けた。)

(真の柔らかなソバージュの長い髪が、雨に濡れる。
可愛らしい雨合羽の下で、フリルのスカートが、雫をこぼす。)

(花子の豊かな長い三つ編みが、フードが外れることも気にしない、
笑顔の横で、雨の雫を弾いた。)

「晴! こっち!」

(三つ編みを揺らし、花子が、勢い良く、晴に振り向き。
強く手を振った。)

「誰か、この能天気とっ! お嬢様を止めてくれっ!!」

(晴が叫び、前方を見た時。)

(晴自身の、動きが止まった。)

ゴウンッ・・ ボボボボッ・・

ゴワッ・・!

(晴の方を、向き、前方に背を向けていた花子は。
気づかなかった。)

(晴と同じく、前方を見ていた真は。 花子と対面したまま。
呆けたように、口を開き。
花子と、その後方に、現れた。 巨大な黒い影に。 おびえた。)

「ぱこっ!!」



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