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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-152


「あ・・っ!」

(麗が、黒い大波と、豹変する人々の姿を、見開く瞳に捉えた時。)

(波と、獣の姿に“闇化”した人々が、身を寄せる、
麗と音々の前に。 押し寄せた。)

ゴボッ・・ ドーーーンッ

(祭の舞台に押し寄せた巨大な“闇”は、
触れた人々を、皆。 “闇化”させた。)

(祭に、歓喜していた無数の人々が、目の前で、人の姿を失ってゆく。)

(まるで、恐怖映画のような光景に。 麗は、音々を後ろから抱きながら。
大きな手で、音々の視界を隠した。)

(それも、一瞬の出来事だった。)

(二人は、声を上げる間も無く。 黒い圧力に、押し流されるかに見えた。
麗は、衝撃に身構え。 音々を、強く。
両腕で抱いた。)

「う・・っ!」

「!」

(音々は、麗の強い腕の中で。 身体を強張らせた。)

(麗は、目を閉じた。
死を予感する一瞬。)

(不思議な、流れる風が。 温かく、
麗の金髪を、撫でた。)



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