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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-153


「はっ・・。」

(何かを感じた一瞬。 振り向いた、麗を。
音々を。 クリーム色に光る。 光の壁が、包み込んだ。)

(暗闇の中から、急に、眩しい光の中へ。
自分たちを包み込む、輝きに。 麗は、目まいし。
瞬間、視界を奪われた。)

(だが、不思議と。 麗には、その場が、安全だと分かった。)

(温かな、輝きが。 麗に触れた。)

***

「晃さん・・っ!」

「あいつが、来る。」

(夏樹は、祭りに興じる人々。 また、嵐に叫ぶ人々の間を、
駆け抜けた。)

(走りざまに、“闇化”する人々を見極め。
FOTの、聖の創り出す結界の中へ。 誘導した。)

(風が、雨を弾く。)

(嘆いている暇は無かった。 元凶である、自らが。 風に触れる度、
“闇化”は起こる。)

(いや、自らが呼吸し。 生きていることが、“闇化”を起こしている。)

(ソラの魔法の抑制が効かぬほどに、夏樹の感情は、流れ出し。
鼓動する“鍵”が、辺りに黒い波動を漂わせた。)

「晃さん・・!」



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