HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-155
(稲光に合わせ、観覧車の窓ガラスに、雨粒が跳ねる。)
「きゃっ///」
(強まる風に、揺れる観覧車に蒲公英が小さく震えた。)
ガクンッ
(観覧車は、蒲公英一家を頂上に運び。 停止した。)
「はっ。」
(数馬は、不穏な気配に息を飲み。 窓ガラスの雨を、見つめた。)
「大丈夫ですよ。」
「雷で、止まったのかもしれません。」
「待っていれば、雨も止みます。」
(穏やかな、誠司のこげ茶色の瞳が微笑み。 桜と蒲公英は、頷いた。)
「そうね。」
(数馬は、守られる様な安心感に、一瞬。 心に流れる温かさに包まれた。)
(だが、目を覚ますように瞬くと。 窓ガラスの向こうへ。
大きくなる雨粒を。 見つめ、瞳を開いた。)
「違う、“闇”だ!」
(数馬は同時に、不穏な気配を感じ取り。 観覧車の窓へ身を乗り出し。
暗闇の中、イルミネーションが照らす、地上を見下ろした。)
「あいつか・・っ!」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』