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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-161


「おうら! まだまだ!」

(男は、獣に負けぬ、荒々しさで。 雨に吠えた。)

バシャシャッ・・

(見開く麗の瞳に。 前方から、雨よりも激しく、水飛沫を上げ。
強い水流に乗り、白いシルエットの人物が。 もう一人、姿を現した。)

ピチャンッ

「剛く〜ん・・、乱暴は〜・・、いけないよぅ。」

「ほら。 “闇”の中身は、こんなに可愛い女の子なんだから。」

(現れた長身の男の腕の中で。 先ほど、剛と呼ばれた男が
倒した、獣が。 姿を変える。)

シュゥゥゥーッ ドロロッ・・

(倒した獣の身体は。 白い髪の、気だるげな表情を浮かべる男の腕の中で。
黒い滴から、透明な水に。 解き明かされるように、
本来の少女の姿を取り戻した。)

「“時の欠片”がこんなに“闇化”するなんて、」

「さすがに、夏っちゃんの力は〜・・、強いね。」

「もう。 じきに〜・・、結界は〜・・。」

「もたないよ。」

(男は。 絶望的な、うつろな瞳で。 激しい雨空を見上げた。)

「“時の欠片”・・?」



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