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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-163


「お嬢ちゃん。 俺たちが、倒れたら。

この場所は、お終いだ。」

(剛は、“闇”の雫の滴る顔で、音々の顔を覗き込んだ。)

「お嬢ちゃん、記憶を無くさねーとは。」

「国側の関係者かい?」

(麗が、剛と音々の間に、割って入った。)

「タンマ。」

「俺は、初見なんで。 事情は分からねぇ。」

「ここから。 音々ちゃんと俺を。 もとの場所へ、戻してくれ。」

「頼む。」

(両手を上げ、降参のポーズを取り、下手に出る麗に。
音々は、愕然とした。)

「ばかっ! 何言ってるっ!?」

「父が来るまで、こいつ等を足止め。」

(麗は両手を上げたまま。 音々に笑った。)

「音々ちゃん。 俺たちは、この人たちに敵わない。」

「この人たちは、俺達たちを守ってくれたんだよ。」

(麗を意気地がないと思った音々は、思い切り拳で、
麗の背中を殴った。)



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