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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-171


(葵は微笑んだ。 柔らかく、上品なワンピースがふわりとなびく。)

(薄紫の長いソバージュの髪が、子供たちを見つめる肩に掛かる。)

(その表情は穏やかだったが、薄紫色の瞳が。 子供たちを見つめ、
鋭く光った。)

「落ち着くまで、ここに居た方が良いわ。」

「国の関係者の、誰かに接触したせいで。 結界を通れたみたいね。」

(光も、心配する表情を浮かべた。)

「そ。 夏樹を捕らえに来るか、それとも。」

(葵は頷いた。)

「晃さんが、危ないわ。」

(光と葵は、三人を結界内に残し、飛び立った。)

コオッ・・!

(花子は、光の壁の中で、空間通路へ舞い上がる、光と葵を見送った。)

「すごいっ! 魔法使いって、本当に居るのね。」

(見開く花子の大きな瞳に。 輝く光の壁たちが、空高く、幾つも浮かび上がっていた。)

***

「くそっ。 この“闇”の数。」

「簡単に、晃のところまで、通してくれない。」



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