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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-177


「・・・っ!」

(数馬は思わず、目を閉じかけた。)

(黒く覆われてゆく、窓の外。 赤い、無数の目が。 こちらを見て瞬いている。)

ゴオッ

(数馬が、諦めかけた一瞬。 強い風が、吹いた刹那。)

(窓から、こちらへ突き出していた、“闇”が。 強い力で後ろへ引き戻された。)

ゴバァッ!

【ガアアァァァーッ!】

ババババババッ!

(強い風が、“闇”を巻き取り。 ゴンドラへ群がる、黒い塊を。
夜空の向こうへ、引き離してゆく。)

「夏っちゃんっ!!」

(安堵と喜びに。 数馬の瞳に、涙が弾けた。)

「夏樹君・・。」

(誠司は、桜と蒲公英をかばいながら、顔を上げた。)

(ゴンドラを支える、鉄の柱の上に。 嵐の中、風を纏い現れたのは、
夏樹だった。)

ゴオオオッ

「・・!」



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