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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-179


「夏樹君・・!」

(誠司の見つめる先で、“闇”を四散させた風が。
深い紺色の髪を、真っ白な肌を、
暗闇の中に、浮かび上がらせる。)

(深い紺色の瞳の鋭い輝きは。
怒りに満ちているように見えた。)

ゴオオォォォーッ

(風は、春日一家の乗るゴンドラを包み。
衝撃を与えぬ様、そっと。 地面に下ろした。)

ドッ ガクンッ

「大丈夫ですか。 すみません、

外へ。」

(夏樹は、ゴンドラのドアをこじ開け。
白い腕を、桜に差し出した。)

「ええ。」

(桜は、戸惑い。 夏樹に手を出した。
夏樹は、強く、桜の腕を引き。
蒲公英と二人を、外へ出した。)

「・・・。」

(強く引く、夏樹の腕は白く。 冷たく、
雨に混じり、黒い“闇”の飛沫が、白い手に、頬に掛かっている。)

(深い紺色の瞳は、微笑んでいたが。
風の力を宿す、瞳の奥は。 底知れぬ気配を発し。 煌めく紺色の深い輝きに。)



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