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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-180


(桜は、どこか、触れてはいけない、恐ろしさを覚えた。)

「怪我は、ありませんか。」

(覚醒した風の力は、夏樹を包み。
躍動する“鍵”が、夏樹の胸を鼓動させる。)

(止まることのない波動が、流れ出し、夏樹の胸は痛んだ。)

『記憶の保持を許された、春日一家だけが、

取り残されている。』

(夏樹は、居たたまれない気持ちで、深く頭を下げた。)

「危ない目に会わせて、すみません。

ここを離れてください。」

(顔を上げた誠司が、微笑み、頷いた。)

「私たちは、大丈夫です。」

「皆を、避難させるよう、手配します。」

「夏樹君。 君は、行くべきところへ。」

(誠司は、体を起こし。 夏樹の腕を、強く掴んだ。)

「気を付けて。 必ず、帰って来て下さい。」

「でなければ、迎えに行きます。」

(夏樹は、微笑んだ。)



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