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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-181


「はい。」

「数馬。」

「頼んだぞ。」

(夏樹は、“闇”の滴る白い手で、数馬の頭を。
カラフルな帽子の上から、強く撫でた。)

「わっ///」

「わかってるっ!」

(数馬の目に、涙が浮かんだ。)

『・・・っ。』

(思っていても、力の足りない、自分が悔しかった。)

(紺色の瞳は、微笑んでいたが、
透き通る肌は、蒼白で。 皆を残し、飛び立って行く
夏樹の横顔は、悲痛に見えた。)

「数馬くん。」

(蒲公英が進み出て、夏樹を真似て、帽子の上から、数馬の頭を撫でた。)

「よくがんばりました!」

(数馬は驚き、見開く瞳から。 涙が弾けた。)

「・・っ、ああ・・っ。」

「行くぞ。」

「みんなを無事に、帰す。」



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