HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-185
(彩の想いは、せきを切って流れ出した。)
「私は、医師として戦うことを放棄して、
研究に走ったの。」
「私は、医師として、負けたと思った。」
「そうじゃない・・、戦うことに、意味があったのに!」
「負けることを、恐れたの・・。
戦っても、勝てないから。」
「どんなに手を尽くしても、救えないから。」
(彩の瞳から、いつの間にか、涙が零れていた。)
(美しくカールした長い睫毛から、幾筋も涙がこぼれ、
止めることは、出来なかった。)
(彩は、自らの寿命と引き換えに、善に力を与え。
“闇化”を起こさせた。)
(それが、どれだけ夏樹を傷つけたか。 呪縛から解かれた彩は、
両手で顔を覆った。)
「ごめんなさい。 ごめんなさい・・、雪さん。」
「剛・・。
剛、あなたから、恋人を奪った。」
「雪さん。 あなたを救えなかった。 あの時の苦しみに、私は負けたの。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
