HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-197


***

「!」

「本部で、待機するように言われている。」

「待つことも仕事だ。」

(菖蒲は、怯まず、続けた。)

[「晃様が、二度と、戻らなくともですか?」]

(時雨の、半月型の眼鏡の奥で。 神経質そうな瞳が鋭く光った。)

「どういう意味だ。」

(菖蒲は、通信機の向こうで、時雨が動くことを、願った。)

[「敵は、“翡翠家”を標的にしています。」]

[「夏樹様の情報とすり替えた、聖様の策でしょう。」]

(時雨は、息を飲んだ。)

[「艶様が危険です。」]

[「晃様が向かいました、ですが。」]

[「守りの強固な、“翡翠家”、」]

[「他には、あなたしか、通れないのではありませんか?」]

「何?」

***



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ