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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-198


「時雨さん、翡翠家へ。」

「Memorizeの能力を使い、」

「晃様の後を追えるはず。」

(菖蒲は、濡れる白手袋の手で、通信機を握りながら。
視線は目の前の。 眩く、振動する。 クリーム色の光の壁から、離さなかった。)

「道筋を作れば、FOTのメンバーが向かえます。」

「お願いします。」

(時雨は、通信機の向こうで、瞬いた。)

[「なぜ、そんなことを言う。」]

[「規律を守るのが、お前の信条だろう。」]

(菖蒲は、雨に濡れる、四角い黒縁眼鏡を揺らし、笑った。)

「静乃さんの危機を、あの時。

私に教えてくれたのは、あなたではありませんか。」

「行って下さい。 行かなければ、後悔します。」

『時雨さんの力があれば、静乃さんのオペレート無しに、

閉鎖された空間通路を。 正しい道で、渡ることが出来る。』

(時雨は笑った。)

[「・・以前のお前なら、執事の自分に何が出来ると、言っただろうにな。」]



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