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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-201


ボボッ・・

(少年の歩みに、灯籠に、火が灯る。)

【善。】

(正体を明かす善に、艶は瞳を開いた。)

(艶自身も、自らを当主だと、名乗ったことは、これまで一度も無い。)

(認めれば、亡き兄を、失うように思ったからだ。)

(だが、今艶は。 この場を守るのは、自分だと悟った。)

【よろしゅう・・。】

(善は、艶をからかい。 歩み寄りながら、鋭く、黒い瞳で笑った。)

「戯け。」

(艶の周りに、火花が灯った。)

「今宵は、宴じゃ。」

「そなたの出る幕ではないわ。」

(雨の香りが、頭上に迫る。
雲が、翡翠家を照らす、月を隠した。)

ボボッ・・

【“鍵”を渡せ。】

【さもなくば・・。】



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