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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-202


(少年は、血の通わぬ白い手を、
艶の前に、突き出し。 舌なめずりした。)

【殺す。】

ババッ・・!

(火花が散り、少年の指先に、鋭い爪が現れた。)

(あっという間に、善は、艶の間合いに入り。)

(鋭い爪が、艶の炎を散らしたと思うと、
美しい着物の、首元を掴み。
艶やかな黒髪を爪に、引き掛けながら、鋭い爪が。)

(艶の喉元を狙い、ぴたりと止まった。)

「・・っ!」

(魔を避ける、赤い髪飾りに、善の指が触れた。)

【よこせ。】

(詰め寄った瞬間。
本殿の扉が開いた。)

ガラリッ・・

「! 艶姫様っ!」

(異変に気付き、現れたのは楓だった。 美しい着物姿の楓は、
信じ難い身の熟しで、即座に、霊力を放ち。
戦闘態勢と成った。)

「ならぬっ!」



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