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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-207


(だが、晃は、止まらず。 鋭く、強い木を、地中から生み出し。
止まることのない、植物の成長が。 堰き止めていた善の、
左手の爪を、圧し折った。)

バキッ・・!

【・・!・・】

(艶の攻撃へ向けていた、左手は流血し、爪を失った痛みに。
善の黒い瞳は、燃え上がった。 言い返そうと、善が口を開く前に。)

(晃の大きな右手が、更なる植物を生み出し。
善が逃げ場を失う程に。)

(素早く繰り出される、太い幹が。 枝が。
善の行く手を覆い尽くし。 動きを封じ。 呼吸することも許さずに、
鳥居の彼方へ。)

(妖魔の巣くう、本殿の外へ。 弾き出した。)

ゴオッ バキバキバキッ!! ドザッ・・

「不届き者が。」

「土足で、足を踏み入るな。」

(晃は、黒い鳥居の前に、たたずみ。)

(弾き出された善が、土煙の中に、倒れる様子を。
冷たい瞳で見下ろした。)

【・・う・・っ。】

(善の左腕は破壊されていた。 微かに呻き。 土の上で身をよじったが、
あらぬ方に向いた腕を、動かすことは、出来なかった。)



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