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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-217


(和傘の向こうから、流す様に涼やかに向けられた視線は、
穏やかに微笑み。 艶と楓に。)

(差していた和傘を手向けた。)

「時宗様。」

(楓が呼び掛けると同時に。 時宗は、
艶と楓に背を向けた。)

(黒袴が、雨の中、遠くなる様子を、
艶は見送った。)

(雨の中。
即座に、眩い光が、煌めいた。)

ザッ キンッ・・

(時宗は、抜刀した。)

ザザザッ・・!

ザバッ・・!

(善が、気付いた時には遅かった。)

【何・・!】

【ゴワァァァァーッ】

(振り向いた善の目に映るのは、素早く舞う、刀の切っ先だった。)

(身軽に闇夜を駆け抜ける青年が。 黒い袴をたなびかせ
善の周りに巣くう、妖魔たちを、あっという間に切り捨てた。)



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