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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-225


「花火、終わっちゃったね。」

(青葉は、肩に乗る。 ひよこに話しかけた。)

「ピヨッ」

(ぴよは答え。 青葉は微笑んだ。)

「お友達には、もう会えないかもしれない。」

「もう、時間がないから。」

(青葉は、温かなぴよに触れた。)

「大丈夫、ちゃんと。 これだけは、届けるから。」

「まだ、間に合うから。」

(青葉は言うと、雷雨の中へ。 しっかりと、歩き出した。)

(透明なビニール傘には、花弁が描かれていた。
いつか、紫苑にもらった、手描きのポストカードに。
桜が描かれていたことを、思いだした。)

(紫苑が住んでいる、桜ヶ丘に。 春、咲くからと。
元気になったら遊びに来てと、誘ってくれた。)

トッ トッ

***

(紫苑は、はっとして。 携帯を握り締めた。)

ピコンッ



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