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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-228


「良く見て!」

(彩の言葉に、看護師は、顔色を変えた。)

[「そんなはずはっ! そんなっ、」]

[「さっきまでここに!」]

(聞いて、彩の瞳が、涙に滲んだ。)

「分かったわ。」

「何が、大切なのか、分かった。」

(モニターの向こうで、病院内は、混乱していた。
だが、彩の目は。
モニターを見ずに。)

(石垣を見て。 潤んだ。)

「遠い夢と、理想ばかり見たわね。」

「一番大切なものは、

私の患者だった。」

(彩は、微笑み。 涙が伝う。)

「あなたにとってもよ。」

「石垣首相。」

(石垣は、怒りに燃え。 瞳を開いた。)

「大切な人は、たった一人だったはず。」



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