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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-239


「馬鹿野郎が。」

(狐次郎の瞳が、滲んだ。 夏樹が、自分に、風の力を使うまいと、
堪えているのが、分かった。)

(だが、長身の狐次郎に、腕力で敵うはずも無かった。)

「“時の欠片”が生かしていただけだ。」

(狐次郎は、あえて、その言葉を告げた。)

「嘘だ!」

「青葉は、生きている!」

「僕とは、違う。」

『生きる価値も無い、僕とは違う。』

(狐次郎は、歯ぎしりした。)

「分かってるんだろう、おめぇだって。」

「それが、運命だ。」

(狐次郎は、夏樹に。 一言一言。
刻むように、言葉を告げた。)

『・・っ!』

「運命は、変えられる。」

(夏樹は、心の中に。 ソラの、水色の瞳を、思い描いた。)

「ふざけんじゃねー!」



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