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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-241


『俺は、子供の頃、もう一度、あいつに手を差し伸べることが、

出来なかった。』

『“闇”に飲まれた街に。』

『恐ろしさに、その場を動けず。

立ち尽くしていた・・。』

(掴んだ手から伝わる冷たい体温に。 雨に目がにじんだ。)

『あいつに手を差し伸べたのは、

あの男だけ。』

(それが出来たのが、自分だったらと。 幾度後悔しても、
過去を取り戻すことは出来なかった。)

(あの日、海に取り残された、夏樹と聖を。 太陽が照らしていた。)

「あの“闇”が、もう一度、動き出す。」

***

【ご機嫌よう。】

(青葉の前に、小さな少年が現れた。)

サーッ・・

(青葉は雨に、顔を上げた。 透明なビニール傘に、描かれた花弁が。 雨を弾く。)

「・・・。」



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