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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-242


(白いワンピースは、雨を受け始めた。)

「あなたが。 ここへ来ると思った。」

(傘を持つ、青葉の手は震えた。)

(少年は、青葉に近づき。
わずかに背の高い、青葉の顔を、見上げた。)

【生きていたいか? かわいそうに。】

【その顔が、俺には甘美だ。】

【俺が味わわせてやろう・・。 命とは、残酷なほど、儚いものだということを・・。】

(少年は、青葉に触れる程近づき、冷たい左手で。
青葉の頬に触れた。)

(青葉は、静かに呼吸し。
目を細めた。)

***

「あの子は、おめぇをおびき出す為のエサだ。

行けば、必ず捕まる。

おめぇも死にてぇのか!?」

「諦めろ。」

(危機は、肌で感じた。 狐次郎の肌は粟立ち、短い赤髪を揺らした。)

(国の特殊部隊は、薄い結界の向こうから。
まるで、銃口をこちらに向けるように、夏樹が行動を起こすのを、待っていた。)



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