HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-245
(花子は、ノートを胸に。
淡くなる、光の壁を、通り抜けた。)
「花子!」
(長い、豊かな三つ編みが。 薄い光の壁を抜け、
現実の中へ。 嵐の中へ、飛び出すのを。
晴は、歯ぎしりし、追いかけた。)
***
(聖は、空間を渡り。
異空間の中に居た。)
「僕は、破壊を望んだ。
もう、これ以上。
この世界を守る、結界を。」
「生み出すことは出来ない。」
(静かな、異空間の中で。
聖は、自分と向き合っていた。)
「この心に、嘘はつけない。
人々の、助けになればと。
“時の欠片”を集めて来た。」
「だが、違う。」
「僕の本当の願いは。」
(異空間の中で、閉じていた瞳を。 僅かに開いた。 静かに、唇が動く。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』