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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-248


(雨など、気にならなかった。
豪雨が、視界を奪う中。)

(雷鳴が轟く。
紫苑は立ち止まり、気配に振り向いた。)

***

(異空間を、歩み始めた聖の前に。
幻が、現れた。)

「彼女は牢に囚われていた。

助け出せるのは、僕しかいない。」

ドウンッ・・

(現れたのは、巨大な、金の鳥籠だった。)

「これまで、幾つもの命を奪った・・。

奪われて当然の、奴らだ・・。」

(聖は、鳥籠に近づいた。
白い靴が近づく度、鳥籠の周りに。
木々の、新芽が、芽吹いた。)

『粒樹・・。』

(聖は、鳥籠に寄り添い、目を閉じた。
鳥籠の中には、小さな少女が居た。)

(白いスーツの背中は、木々の葉に、包まれた。)

【・・聖・・。】



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