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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-25


「許されても良いはずですよね。」

(菖蒲は、心から笑うことが出来ず。
伸ばした白手袋の手を、そっと握った。)

「どうしたの? 菖蒲くん。」

「夏樹くんのことが心配?」

(静乃は優しく微笑み、静かに、
燕尾服の背に触れた。)

『静乃さん・・。』

(菖蒲は、静乃の優しさに、
胸が詰まった。)

「私の手で。

主人を、守り切れるでしょうか・・。」

「・・この幸せが。」

「あまりに、儚く思えて。」

(菖蒲はまた、もう一つの考えに。
胸を痛めた。)

「・・、“闇”は消えるべきでしょうか?」

(問いかけに。 静乃は、瞳を開いた。)

「菖蒲くん。」

(回転木馬の鮮やかな光が。 菖蒲の四角い黒縁眼鏡に反射し。



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