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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-26


目を閉じた、菖蒲の表情を隠した。)

「それが、夏樹様の願いだと。」

「知っています。」

「けれど。 そのために、夏樹様を失うのなら。」

「“闇”を消したくなど、ありません。」

(メリーゴーランドの華やかな音楽が、
口に出してはいけない、菖蒲の言葉を掻き消した。)

「終わってほしくない。」

「もし、“闇”が悪なのだとしても。」

「夏樹様がいないのならば。」

「私は、正義にはなれない。」

「夏樹様の存在が、悪だったとしても。」

「私は、守りたい。」

(菖蒲は、静乃を前に。 正直な気持ちを、抑えられなかった。)

「私は、自分が恐ろしいです。」

「もし、主人が過ちであり。」

「この世の全てが、正しかったとしても。」

「すべての人を、敵に回しても。

守りたいと思うのです。」



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