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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-250


【!】

【聖。】

(粒樹の目から、涙が零れた。 抱き留める聖の腕に、
深い紺色の、短いソバージュの髪が、乱れ掛かる。)

「国が捕えていた、開発施設から。 粒樹を奪ったのは、僕だ。」

(無理に、抱き寄せる白いスーツの腕が。
粒樹の胸に滴る、赤い血に染まった。)

「まさかあの日、“闇”が起こるとは・・。」

「君が、夏樹を探す為に。 “闇”から彼を守る為に。」

「この地上へ、舞い降りたとは・・。」

(血痕は、粒樹の胸元からこぼれ。 レースの舞う服に。
伝わり。 小さな白い足を、赤く染めた。)

「この世に初めて、“闇”が生まれた日。」

「君は、“闇”から夏樹を守り、死んだのか?」

『その身体に、“闇”を“呪い”を封印した。』

『違う。』

『僕が、君を、愛したからだろう?』

『・・、答えてくれ、粒樹。』

「だから、僕を。 置いて逝った!」



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