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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-252


(聖は、首を振った。)

「違う。」

【わたしよりも。 ずっと、彼を愛している。】

(聖は、粒樹を強く抱きながら、否定した。)

「違う!」

【わたしは、助からないわ。】

【もう十分。 あなたは愛してくれた。】

【諦めて、良いのよ。】

【あなたの、本当の心を見せて。

わたしの代わりに、彼を愛して。】

(過去の幻想に、すがらなければ、目的を見失いそうだった。
夏樹への愛に気づくことは。
自らの中で、粒樹への愛を打ち殺し。
彼女を、本当に。 葬ることに、他ならない。)

(両腕に、思い出を抱き締める聖は。
そのことに、必死に抵抗しているように、見えた。)

【彼は、愛に飢えている。】

【愛し方も、愛され方も、知らないの。】

『【あなたも、同じね・・。】』

『【不器用で・・。 愛しい人・・。】』



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