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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-253


『【あなたを、愛せる人が・・。】』

『【わたしであれば、どんなに嬉しかったか・・。】』

(粒樹もまた、涙を零した。)

(小さな手が、そっと。 牢獄の中から、聖の。 輝く銀色の髪を撫でた。)

(粒樹もまた、夏樹を愛していた。)

(エアリエル国の、最後の“闇の鍵”。 “闇の魔女”により、滅ぼされた、
“闇の樹”の最後の一粒。 “闇の樹”の王家の血を引く、ルイが
地上の女性、千歳と授かった、夏樹は。)

(王家の“闇の樹”を継ぐ、最後の一人だ。)

(“闇の魔女”リザが、自らを滅ぼすため、かけた“闇”の呪いは。
夏樹を滅ぼすまで、止まることは無い。)

(しかし、王家の“闇の樹”から生まれた粒樹は。 自らが滅んでも、
最後の一粒を守りたかった。)

(そして、夏樹の中で生きるうち。)

(夏樹自身に惹かれ。 その想いは強まった。)

(聖への想いを絶ち、自らの存在を消すことで。
夏樹を生かすことが出来るのではないかと、考えた。)

【愛すべき人に、出会ったばかりなの。】

【あなたなら、分かるわね。】

【だって、彼は、あなたに良く似てる。】



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