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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-256


(その場で、身体を硬直させた。)

(恐怖が全身を貫き。 口を開いたまま、身動きが出来ない。)

【ルイ・・。】

【来たか・・。】

(善は、静かに。 青葉に語り掛け。 背後に回った。)

【ゆっくりお休み・・。】

【すぐに・・僕が・・、連れ出してあげるから・・。】

(青葉の瞳から、涙が零れた。)

(悔しい思いが、青葉を包む。 これ以上、抵抗することは、出来ないと悟った。)

(だが、その時。
同時に。 青葉の願いは、叶えられた。)

ゴオオッ!

「諦めて、たまるか!」

(夏樹が、青葉の前に、駆け込んで来た。
舞い上がる風が、青葉の頬を撫でた。)

「・・夏樹く・・。」

(薄れる青葉の視界の最後に。 滲んでゆく瞳に。)

(深い紺色の瞳を捉え。 青葉は、最後のひと時。
微笑んだ。)



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