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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-259


「会いに来て、くれたのか・・。」

(その身体は冷たく。 雨と泥に濡れる頬に、
かかる髪を、夏樹は、整えた。)

(夏樹の白い手は、青葉の身体と同じく。
生気を宿さぬようだ。)

(だが、青葉の身体に、もう魂が、宿っていないことを感じ。
夏樹の手は震えた。)

「ごめん・・、青葉。」

(閉じられた瞳、青葉の顔は、穏やかで。
その口元は、微かに、微笑んでいるように見えた。)

チリンッ

「・・っ!」

(夏樹は、フェルゼンが落とした、“時の欠片”を右手に受け止め。
青葉の遺体を、左手で支えた。)

【《闇の力を秘めし鍵》】

【《解き放て》】

【《次元の扉》】

(フェルゼンは、右手を頭上に掲げ。 雷鳴の中に、魔法を放った。)

ゴゴッ・・!

(夏樹は、白い手の中に光る。 “時の欠片”を静かに、見つめていた。)

「青葉・・。」



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