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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-266


(深い紺色の瞳が、聖を見た。)

「風の使い方を、教えてくれた。」

(研ぎ澄まされる感覚が、夏樹の怒りと、悲しみを鎮め。
ただ、なすべきことを。 風が、教えていた。)

(紫苑は、弾かれたように、走り出した。)

「・・っ、青葉ちゃん・・っ!」

「青葉ちゃん・・っ!!」

「いけないっ、お嬢様!」

(菖蒲は、紫苑を抱き留めた。)

「わたしが・・っ、わたしのせいで・・っ!」

(菖蒲は、強く紫苑を抱き。 後ろに引き留めた。)

「違います。 あなたのせいでは無い。」

(紫苑の心を保とうと、菖蒲は、必死に、紫苑を抱いた。)

「あああああ・・っ!」

(紫苑は、堪えられず、菖蒲の腕の中で、泣いた。)

(深い紺色の瞳は、前を見ていた。)

***

『苦しみに、目を閉ざすな。

嘆きに、心を許すな。』



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