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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-277


(夏樹は、目を閉じ。 遠く、叫ぶ駆の声を聞いた。)

「夏樹〜〜っ!!」

(音々の言葉が、夏樹に届いた。)

(閉じた夏樹の目から、涙が零れた。)

ザーッ

「静乃さん、空間通路を修復してください。」

(菖蒲は、冷静に判断し、夏樹を救う術を、考えを巡らせた。)

「晃様をここへ。 FOTメンバーを呼び戻しましょう。」

「光様、葵様、数馬様、剛様は、人々を守り。 ここへ向かって下さっています。」

「ですが、間に合わない。」

(菖蒲は、頭上から破壊されて行く、剥がれ落ちて行く、結界を背に。
静乃の隣に立つ、千波を。 滲む瞳で見つめた。)

「・・聖。」

(千波は、胸元を握り締めた。)

(雨の雫に、明るい茶色の瞳と、髪が。 クローバーの髪飾りが濡れた。)

トクンッ トクンッ

(千波の胸は痛み。 夏樹の心が、“闇”と戦っていると知った。)

「千波様・・。 結界が、崩壊します。」

(菖蒲は、静かに告げ。 千波を見た。)



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