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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-279
「・・!」
(菖蒲は、胸の奥に、怒りが込み上げるのを感じた。
金色の瞳の冷たい視線は、千波の涙を。 囚われて行く夏樹を見ているはずだ。)
(だが、何もせず。 ただ、見ていた。)
(崩壊して行く只中に立ちながら、聖には、何も出来ないことを、
菖蒲は知らなかった。)
(聖は自らが生み出した結界が、崩れ行く中。 ただ、目を逸らさず。
無感情に。 愛する者の行く末を、見ていた。)
(菖蒲は、怒りを込め、聖を見た。)
コォォォォーッ
『菖蒲。 静乃さん。 千波ちゃん。』
(夏樹は、崩壊して行く結界を前に。 自分を奮い立たせた。)
(その時が来た。)
(守れるのは、自らの力だけだ。)
ビシッ ビシシッ
「う・・っ。」
(鋭い糸が、夏樹の腕を切る。 締め上げる糸が、抵抗すれば、きつく自由を奪った。)
ゴォォォッ!
(見開かれた水色の瞳が、上空からの力を受け、強く前を見た。)
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