HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-285


ビシュシュッ・・!

(黒いサングラスを掛ける、執事達が、一斉に、魔法の糸を
夏樹に向け、放出した。)

ガッ・・! ビシシッ!!

(攻撃を受けてもなお、
夏樹は、風を、反撃に使わなかった。)

(全身全霊を込めて、守る者のことを思った。)
自らを失っても、構わなかった。)

『この命に代えても、守るべき人が居る。』

バシッ バリバリバリッ・・!

「う・・っ! ぐ・・っ。」

(無数の糸が、夏樹の身体を絡め取り、傷つけ、拘束した。)

(首を、締め上げる糸に、白い肌は出血し。 呼吸を圧迫した。)

『あの時、母を守れなかった。』

『守るべき時は、今だ。』

(強い思いが、夏樹の自我を留めた。 “鍵”の”闇化”を留めた。)

(金色の瞳が、夏樹を見ていた。)

『風の、使い方を、僕に。 教えてくれた。』

(囚われて行く夏樹を、見下ろす、金色の瞳に。
菖蒲は、耐え切れずに、叫んだ。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ