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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-287


夏樹様を、戦いに向かわせるのですか?」

「どうなるか、あなたは分かっているはずです。」

(菖蒲は、なりふり構わず、聖に叫んだ。)

「菖蒲くん・・っ、だめだよ。」

(千波は、必死に、菖蒲の燕尾服の背中を、引っ張った。)

(菖蒲の言葉は、聖の、逆鱗に触れた。)

「どんな時も離れなかった。」

「どんな時も向き合ってきた。 苦しみの中、ぎりぎりの場面に立たされても、

なお、あの方は戦ってきたのです。」

(千波は、涙を零し、菖蒲の大きな背中を、必死に引き止めた。)

「菖蒲くんっ・・、やめてっ!」

(黄金色の瞳が、激高し、こちらを見下ろした。)

(菖蒲は、千波と紫苑を庇う様に、前に立ち、聖に向かい。 歩を進めた。)

「私はずっと、見てきました。」

「誰が知らなくとも、私が知っています。」

「あの方が、どれほど頑張っているか。」

「それを、利用しただけだというのですか?」

(菖蒲は、聖に向き合った。 見下ろす、金色の瞳から、
千波と紫苑を守る様に、菖蒲は、聖と対峙した。)



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