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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-289


(聖の、金色の瞳に、横切る光を。 紫苑は、菖蒲の後ろから見た。)

「!」

(それは、かつて、紫苑が見たことのある物だった。 目にした瞬間、
叫ぶことしか、出来なかった。)

(一瞬の光が過る、菖蒲が、聖に絞り出す怒りを叫んだ時。 同時に、その音は届いた。)

「あなたが、苦しんでいたのは。 夏樹様のせいではない。」

「あなた自身の、過ちではないですか!」

ドンッ・・!

(音と同時に、紫苑は、恐怖に身を固くし。 叫んだ。)

「菖蒲さんっ!!」

(にわかに、起こった出来事を、紫苑は、信じることが出来なかった。)

(それはただ、画面の向こうで。 繰り広げられる、ただの映像だと思いたかった。)

(感覚が麻痺し、現実から、紫苑を遠ざける。)

(鳴り響く音は、強く轟き。 一瞬の出来事を、スローモーションに見せた。)

「・・・っ。」

(それは一瞬だった。 紫苑が見た時。 白いスーツの腕が、上がった。)

(同時に、見えた光は。 その手に握られていた、金色の拳銃だ。)

(能力者用に、創られた特別な弾丸に。 夏樹の風が、打ち破られ。
残酷に放たれた弾丸は、菖蒲の、右胸を貫通した。)



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