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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-290


「!!」

「きゃぁぁぁぁ〜!」

(燕尾服の胸元から、赤い滴が舞う。 弾丸の衝撃に、紫苑が目にしていた、
菖蒲の背中は、撃ち抜かれ、花開く様に、紫苑の視界を赤に染めた。)

ドサッ・・!

(菖蒲は、声を上げることも出来ず。 そのまま、背中から倒れた。)

ガシャンッ

(衝撃に、眼鏡のレンズが砕け、雨に濡れた長い後髪が、揺れた。)

「(ごぼっ・・)」

(見る見る蒼白になる頬に、閉じた睫毛に。 雨が打ち付ける。)

(水溜りに、鼓動する胸が赤く染まり、砕けた眼鏡に、口元に。
赤い滴が飛んだ。)

「菖蒲さんっ!!」

(紫苑は、その光景が信じられず。 駆け寄ったが、恐ろしさに身体が痺れ、
何も出来なかった。)

[「空間結合、完了。」]

(静乃は、菖蒲が創り出した僅かな時間に、空間を修復し繋ぎ留めた。)

(恐怖に震えぬ様、道筋を誤らぬ様、指先に力を込め、念じた。)

「・・戻って来て、皆!」



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