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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-291
(機器を離し、菖蒲に駆け寄る静乃の目に、
信じ難い現実が映る。)
「(ひっく・・)菖蒲くん・・。」
(静乃は、菖蒲の身体にすがり、傷ついた胸を、両手で強く圧迫した。)
「大丈夫よ。 皆を呼んだわ。」
「皆が、すぐに来てくれるから・・。」
「夏樹くんも。 街の人達も、皆、大丈夫よ。」
「菖蒲くん・・。」
(零すまいと思っても、静乃の目から、涙が零れた。)
「大丈夫よ。」
(菖蒲に笑顔を向けようと。 静乃は、両手を離さぬまま、雨雲を切って、
明るみ始めた、空を見上げた。)
(顔を上げ、涙を弾いたが。 菖蒲の身体から流れ出る温かさが、
静乃の手を染め。 小さな花の、ネイルの指先は、赤に染まり、震えた。)
「代わって・・。」
(駆け付けた彩が、静乃の手を取り、代わりに止血した。
静乃に指示し、すぐに処置に取り掛かる。)
「研究所には、手が入るかもしれない。 ここへ、繋いで。」
「静乃。 必ず、助ける。」
「菖蒲君を、励まし続けて。」
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