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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-296


(夏樹は、涙を堪えることが、出来なかった。)

(これまで、人々を守って来た、FOTの結界は、崩壊した。)

(だが、ただ嘆き、終わりにしたくは無かった。)

(現実の、世界に、“闇”が流れ出る瞬間に、夏樹は。
風で生み出した、球体の巨大なベールで。 人々を包んだ。)

(それはまるで、結界の代わりを成すものに見えた。)

ガッ・・バキバキバキバキッ・・!

(紫苑は、風のベールの中に包まれ。
その光景を見た。)

(壊れて、剥がれ落ちる、結界の向こうから、黒い怪物が、流れ出る。)

【ガアアアアーッ!】

(放たれた“闇”の声が、地響きし、身体を震わせた。)

「夏樹くんっ!!」

(“闇”と魔物は、流れ出たが、夏樹の風のベールが人々を包み。 通さなかった。)

(だが、夏樹の身体は捕らえられ。 国の使い達と共に、見知らぬ空間通路に、
引き込まれて行く。)

(夏樹の姿が、黒服の男たちの中で、見えなくなる。)

(夏樹は、黒く深い、国の生み出した、空間通路の中へ。 送り込まれた。)

(ミイは、挫けそうになる心を奮い立たせ。 瞳を開いた。)

「“光の樹”に聖なる力の、祝福を。」



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