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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-302


(次第に小さくなり、今や点となろうとしていた。)

(それは、夏樹に、死を予感させた。)

(手にしかけた喜びは。 二度と戻らない様に思えた。)

(深く深く。 冷たく、落ちて行くトンネルの先に。)

(孤独と、絶望。 死が待っている。)

(子供の頃受けた苦しみが。 夏樹の中に、甦る。)

(夏樹は、恐怖の中で。 静かに、自分と向き合い。
落ちて行く感覚の中で、深い紺色の瞳を閉じた。)

ゴゴゴゴッ・・

バキッ・・ ガッ!

(明け始めて行く地上と、暗い渦の中へ。 遠く、見えなくなる夏樹の姿に。)

(地上に残される風と、幾つもの力の生み出す、守りの壁に、
狐次郎は、苛立ち。 行き場を失っていた、国の使いを、混乱に紛れ、
手に掛けた。)

「ひっひっ。」

「悪い、悪い。」

「あんた、味方だったか?

俺の前に、いたもんだからよ。」

ゴッ バキッ!



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