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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-306


[「この世界で、生きて行ける。」]

[「きっと、そう思ってる。」]

(青葉は、強く握り締め、閉じていた拳を開き。)

(紫苑に、両手を開き、微笑んだ。)

[「紫苑ちゃん。」]

[「大好きよ。」]

[「必ず、幸せになれる。」]

(雲間から、淡く降り注ぐ光が、透明な、青葉を照らし。
上がる雨の雫に。 この夜に起こった惨劇を。)

(明るく照らし始めた。)

[「・・、ありがとう。」]

[「夏樹くん。」]

(青葉は、両手を開き。 胸に光を集めたまま。
微笑み、目を閉じた。)

(青葉の残した、光の残像が、消える。)

(それでも、地上に差し込む光は、消えず。)

(次第に明らかになる、惨状と。
紫苑の前に、目を閉じ横たわる。 青葉の、安らかな顔を。
照らしていた。)

「・・・っ。」



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