HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-307


「(ひっく・・)」

(それは、とても神々しかった。 紫苑は、両手に、
青いひよこを抱き。)

(光の下で、涙を零した。)

***

(遠く離れた、山中で。 破壊の後、訪れた静寂の中で。)

(崩壊した、翡翠家本殿の前に。 静かに祈る、
二つの影があった。)

「安らかに、眠れ。」

(艶は、祈り。 美しい和蝋燭に。
小さな右手で、炎を灯した。)

『〈・・魂は。〉』

(時宗は、雨跡に、黒の袴を翻し。
天を仰ぎ。 翡翠色の瞳で。 昇り始める朝日を見た。)

『〈還る。〉』

『〈姿を変え。〉』

『〈在り続ける。〉』

(時宗は、瞳を閉じ。 美しい、白い両手を。 合わせ、
朝日に、祈祷した。)

***



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ