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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-311


「いつの日か。」

「そなたを迎えに来る。」

「全ての命は。 愛と共にある。」

(大巫女は祈り、輝く星の砂を、水鉢に放った。)

シャラララッ・・

(女王サラは、崩壊した大聖堂から。 続く、祈りの塔へ歩いた。)

(砕けて行く外壁と、床に転がる石が。 サラの美しい靴の音に、
小さく鳴る。)

(エアリエル国でも、静かに夜が明けようとしていた。)

(大小の星が煌めく空は、色を変え、輝き始める。)

(青い石で創られた塔内に、硝子の天井から光が注ぎ始める。)

トッ

(サラの美しい、絹の様なドレスが、青い石の床に舞った。)

(流れる清き水。 降り注ぐ光、茂る緑の木々。 塔内とは思えない、美しい自然は。
エアリエル国そのものだった。)

(サラは、小さな石段を登り。 その中央にそびえる、
一本の樹に、跪いた。)

「聖なる“光の樹”よ。」

(サラの呼び掛けに、光の樹はそよぎ。 風が、香りを運んだ。)



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