HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-314


(夏樹を奪った、空間と共に。)

(聖は、太陽に、背を向け。 去ろうとしていた。)

(白いスーツの背中を。 誰も引き止めることは出来ない。)

(にも関わらず。)

(声を掛けたのは、千波だった。)

「やり直せる。」

「人は、何度だって、やり直せる。」

「幾度道を、間違っても。

やり直せるのよ。」

「そのために、明日が来るのよ。」

「夜は、明けるの。」

(千波の言葉は、聖に届かず。
僅かに振り返った、金色の瞳は。 冷たく、光り。)

(太陽を受ける、銀色の長い髪が。 眩く光り、背を向けた。)

「聖・・。

大好きよ。」

(千波は、空間通路の彼方へ、遠ざかる。 輝きを、見つめた。)

(聖は、全てを、諦めようとしていた。
粒樹を諦めるために、全てを捨てることを決めた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ