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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-315


ゴウンッ

(金色の瞳の見つめる先に。 新たな空間が開かれた。)

「夏樹・・。」

(聖は一時。 空間の向こうを見た。)

(背を向けた地上は。 眩い太陽に包まれ。)

(もはや、聖に。 見ることは、叶わなかった。)

***

(遠い記憶が、甦る。)

(心を閉ざした、幼い夏樹に。 聖は、話しかけていた。)

「夏樹・・。」

「風の方から、話し掛けてくる瞬間がある。」

「それを掴んだら。 忘れないことだ。」

「大丈夫だ。 力は、君の中から湧いてくる。」

「その力は、止まることなく。 君と共にある。」

(黄金色の瞳は、深い紺色の瞳を映し。 微笑んでいた。)

「心が湧く瞬間がある。」

「それを捉えれば。 風は、ずっと。 君のものだ。」

(あの時。 確かに、黄金色の瞳は微笑んでいた。)



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