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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-37


『他に、何もいらない。』

(紫苑は、幸福に包まれ。 夏樹の手を握り締めた。)

***

「まこちゃ〜ん♪」

(夏樹たちの去った、メリーゴーランドの前に、
大きく手を振る少女がいた。)

(豊かな髪を、ふたつの三つ編みにした少女は。
小さな顔に不釣り合いな、大きな眼鏡をかけていた。)

「・・はっ、ぱこちゃん///」

(そう呼んで、手を振り、応える。
まこと呼ばれた、待っていた少女は。 三つ編みの元気な少女と対照的に、
大人しそうで。 砂糖菓子のように、
繊細で、小さく見えた。)

「ごめん、待った?」

(大きく、長い豊かな三つ編みを、背中で揺らし。
ぱこは、息を切らし、笑った。)

「な〜んだ、ぱこって。

花子のこと。」

「誰かと思った・・。」

(隣で、不服そうに。 ポケットに手を入れた男子は。
顔が隠れる程、前髪が長く。 暑い日射しもどこ吹く風、
興味なさげに、つぶやいた。)



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