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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-4


(彩の美しい唇が微笑み、その目が潤んだ。)

「夏樹君。 いよいよあなたと戦う時ね。」

「あなたから、奪ってみせる。」

(鮮やかなピンク色のソバージュの髪が。 巨大な黒い扉の前に、
最後に灯された明かりに、光り、浮かび上がる。)

「この扉の奥。 地中深くに、

光は、決して届かない。」

「暗い“闇”が広がっているだけ・・。」

「楽にしてあげる。」

「あなたを・・。 もう十分、戦ったもの。」

「・・先生が、付いているわ。」

「優しいあなただもの。 わかってくれるわね。」

「この世界を救うため。 青葉さんを始め、

すべての人を救うため。」

(彩は、愛しいものを愛撫するように、黒い巨大な扉を、
赤いネイルの指先で、撫でた。)

「ずっと、あなたの力の秘密を知りたかった。」

「いくら研究を重ねても。 その強さに、

触れることは、出来なかった・・!」



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